長谷川針灸院
やさしい中医学

中医学資料
この資料は、長谷川針灸院の中医学勉強会での資料です。
中医学の基本的概念をまとめています。
これから、中医学を学ぼうというかたは、一度読んでみて下さい。

『東洋医学の病気に対する考え方と治療法』

「東洋医学の病気に対する考え方と治療法」
についてのワークショップが開催されました。講演内容の一部を公開いたします。

【 陰陽五行説 】

東洋医学の基本的な考え方です。
あまり聞き慣れない言葉ですが、東洋医学では、この考えを基に診断及び治療を行います。

《 陰陽とは 》

色々な物事を、とりあえず、「陰と陽」の二つに分けて整理してみようという考え方です。

表-1 陰陽 その1
太陽

例えば、.男は陽で女は陰。太陽は陽で月は陰。朝は陽で夜は陰。上が陽で下が陰。
この様に、物事を大きく二つに分けて考える分析法です。

表-2 陰陽 その2
腹部 内臓下痢
背中 皮膚便秘

人間の体でいえば、背中は陽で腹は陰。(ペットを思い浮かべてください。背中が太陽に向いています。)
体の表にある皮膚は陽で、内にある内臓は陰。また、熱は陽で寒(冷え)は陰。便秘は陽で下痢は陰。
顔面紅潮は陽で顔面蒼白は陰。このように病気そのものを、部位や症状で陰陽に大きく分けて診断します。

《 五行説について 》
表-3


陰陽を更に詳しく、自然の法則に則って五つに分けて分析をしていく方法です。
物事を ‘木・火・土・金・水’ の五つに分けて分析する方法です。
木は燃えて火となり、燃え尽きれば土となり、土は金(鉱物)を生み、金は(腐食して)水を生みます、
水は木を育てます。この様に、「自然界は、各々が関連し合って成り立っている。」、これが五行の考え方です。例えば「五臓六腑」という言葉、「酒が五臓六腑に染み渡る」とか、「五臓六腑が煮えくりかえる」など。
これらの言葉も、この五行からきているのです。

《 五臓とは 》
五臓 その1
 木  →  肝
 火  →  心
 土  →  脾
 金  →  肺
 水  →  腎

五臓とは、 ‘肝・心・脾・肺・腎’ の五つの臓をいいます。
それぞれ、肝は木、心は火、脾は土、肺は金、腎は水と「五行説」に則って分かれています。

 五臓 その2
 木 → 肝 → 西洋医学の肝臓と自律神経を含んだもの
 火 → 心 → 心臓と精神作用
 土 → 脾 → 胃腸と消化器系全般
 金 → 肺 → 肺臓と免疫系全般、それに免疫系
 水 → 腎 →  腎臓と泌尿器系全般、それにホルモン系

東洋医学でいうところの
「肝」は、西洋医学の肝臓と自律神経系を意味しています。
「心」は、心臓と精神作用等を意味しています。
「脾」は、胃腸と消化器系全般を意味しています。
「肺」は、肺臓と免疫器系全般、それに免疫系を意味しています。
「腎」は、腎臓と泌尿器系全般、それにホルモン系を意味しています。
(※分かり易く対比させたもので正確ではありません。)

《 肝と腎の関係 》
「肝腎要」(かんじんかなめ・肝心要)という言葉がありますが、共に非常に重要であるとの意味なのですが、
その言葉の通り、肝と腎は身体に取って非常に重要であると共に、特別に強いつながりがあるのです。


肝    →  腎

ストレス →  生理不順

腎    →  肝

更年期  →  自律神経失調症


女性の場合、生理(腎)と自律神経(肝)の関係がこれにあたります。
肝が腎に影響した場合、即ち、自律神経が生理に影響した場合とは、例えば、身内の誰かが亡くなった時や、
恋人に振られた時、また職場での人間関係に悩みがある時、こんな時に女性は生理不順になったりします。
これは、肝が腎に影響した例と考えられます。その逆がいわゆる更年期障害です。年齢的にホルモンの働きが悪くなり、その影響で自律神経のバランスが狂い、突然の発汗であるとか、のぼせがおきたりします。
このような状態が、腎が肝に影響した例です。

《 五味 》
五行に関連した言葉として五味という言葉があります。
五味とは、五臓に関連して各々の病気の時には、どんな味のものを食べれば良いのかをまとめたものです。
表-7 五臓と五味
塩辛

肝は酸っぱいもの、心は苦いもの、脾は甘いもの、肺は辛いもの、腎は塩辛いものという事になります。
肝が弱った時には少し酸っぱいものを食べると良いでしょう。同じ様に、心が弱った時には少し苦いものを食べましょう。胃腸が弱った時には少し甘いものをとると効果的です。
「逆もまた真なり」という言葉の通り、酸っぱいものを食べ過ぎた場合には肝を痛め、甘いものを食べ過ぎると脾が悪くなります。例えば、妊婦さんが梅干等の酸っぱいものを食べたくなることや、塩辛い物を食べ続けると、腎性高血圧になったりします。「医食同源」という言葉は。この事を言っているのです。

【 八綱弁証について 】
八綱とは、聞き慣れない言葉ですが、陰陽・虚実・表裏・寒熱の八つを意味しています。
《 陰陽・表裏とは 》
「陰陽」とは、既にお話をした様に病気を大きく2つに分けて分析する方法です。
「表裏」とは、急性の病気や身体の浅い部分の病気を「表病」、慢性の病気や身体の深い部分
の病気を「裏病」という様にわけて分析していく方法です。

《 虚実とは 》
虚実の「虚」とは、身体の機能が低下したような状態のことを指し、「実」とは身体の機能が
亢進したような状態のことを言います。例えば、
(虚の症状)とは、食欲がなくて食べられない、足腰が冷える、血圧が低い、貧血症など・・・。
(実の症状)とは、食べ過ぎて胃がもたれる、熱がある病気、血圧が高いなど、・・・。

《 寒熱とは 》
寒熱については、文字通り'冷えの病か、熱の病か'ということです。
基本的な考えとしては、冷えの病にはお灸を使い、熱の病には鍼を使います。
あくまで基本的な捉え方で単純に病気を冷えと熱に分ける訳ではありません。
例えば、一日に何時間もコンピューター作業をする人や、人一倍他人に気を遣う人、人間関係や
家庭の事、健康の事などで悩みのある人など、・・・。この様な人は絶えず頭を使う為に、
気が上の方に偏り、その反面、下半身には気が巡らず、上半身は熱っぽいのに下半身は冷えている、
という状態になります。この様な状態を「上熱下寒」或いは「上実下虚」といいます。
この様な時には、昔から頭寒足熱と言われるように頭は冷やして脚を温めることです。
家庭治療の場合、脚にカイロを貼るとか、厚手の靴下を履くなどして下半身を温め、頭には水タオルや
氷枕などをして冷やしてやる事です。
治療家が治療する場合は、頭の方には鍼を使い、足下には お灸をするということになります。

《 使い捨てカイロの上手な使い方 》
余談ですが、使い捨てカイロの上手な使い方を今日は覚えて帰ってください。
1.風邪のひき始め(背中がぞくぞくした時)
 首の後ろに貼ります。花粉症にもある程度有効です。
2.お腹の調子が悪い時(特に冷えを伴っている場合)
 おへその上に貼ってください。ただし、お腹を押さえて痛みがある場合は止めてください。
3.脚が冷える時、または脚が重たい時
 腰に貼ってください。ちょうどおへその裏あたりです。
 このように冷え性を伴った病の場合、使い捨てカイロを上手く使うと随分と楽になります。
 ただ、使い捨てカイロの場合はあくまで症状に対する治療であり原因に対する治療にはなっていません。
 病気の原因がどこにあるのかを診断し、的確な治療をするにはお灸でなければ出来ません。
 是非一度お近くの鍼灸院で治療を受け、どこにお灸をすればよいのかお尋ね下さい。
 きっと優しく親切に教えてくれる事と思います。

この様に八綱弁証で、陰陽・虚実・表裏・寒熱を分析したなら、次は治療ということになります。
前述した通り、東洋医学では虚実と寒熱を中心に病気を診断し、治療していきます。

【 補 寫について 】
《 補とは 》
虚の病気に対しては、補法(ホホウ)という治療を使います。
補う方法と書いて、ホホウといいます。虚という機能が低下した病気に対して、その機能
を高めてあげようという治療です。体が弱ってでてくる病気ですから、その治療は本当に
軽い刺激で行うことになります。
《 寫とは 》
逆に実の病気に対しては、寫法(シャホウ)という治療を使います。
実の病気とは、機能が亢進した状態ですから、強い刺激で亢進した機能を抑えてやるという治療法です。

「私には鍼が合う」とか、「私には鍼が合わない」とか、という声をよく耳にしますが、実はその人の身体に
鍼が合うとか合わないとか、という事はありません。その病気に対して鍼が合うか合わないかということは
確かにありますが、身体に合うとか合わないとか、ということは無いのです。「私には鍼が合わなかった」と
いう方は、例えば、身体の弱っている時(虚の状態)に強い刺激の寫法をしたとか、逆に機能が亢進してい
る(実の状態)時に補法を行った、などの間違った治療をしていた可能性があります。
このように虚実の判断は、治療に際して、非常に重要になってくるのです。
《 癌について 》
虚実の治療に関して、一番難しいのは「癌」の治療です。
癌でも初期の場合は、症状は実ですから寫法で癌をどんどん叩きます。これは西洋医学でも
同じです。ところが、ある程度癌も進んでくると身体そのものが弱ってきます。その時は身体
の気力を高めるように瀉法に加えて補法も行います。さらに癌が進行して、身体の衰弱がひどくなってくる
と、今度は補法が中心の治療になってきます。癌の場合この補寫を間違えると、癌の進行を
進めたり、或いは患者の体力を奪ってしまう事にもなりかねないのです。

『やさしい中医学』
●「中医学とは」
「天人合一思想」 大宇宙 自然界  全身

小宇宙 人 体  鼻・耳・眼・顔・腹・足裏・手指

・自然界と人体とは密接に関連している。(自然界が人体に及ぼす影響)


風寒暑湿燥火(六淫)・異常気象・月の満ち引きと出産・春の狂気・

・自然界と人体は同じ法則で動いている。

1.生体観

先天の気(腎気=DNA)後天の気(水穀の気=食べ物・清気=空気)
2.病理観

病は気から
3.診断・治療

望聞問切・弁証論治
4.医学体系

【気・血・津液・精】

・陽=気=機能  陰=血・津液・精=物質

「気(機能)が働かなければ、陰(物質)は運ばれず、


陰(物質)がなければ、陽(機能)は働かない。」

・五臓六腑 五臓=気血津液を貯蔵代謝するところ
 (内は密で独立している)
六腑=水穀を消化吸収するところ(内は空で繋がっている)
1.気

気は機能である。
気の作用(推動作用・温く作用・防御作用・固摂作用・気化作用)
気の種類


元気=生命活動の原動力・先天の気・総合の気・
営気=全身に栄養を運ぶ作用
衛気=防御作用と温く作用
宗気=心拍運動や呼吸運動・推動作用

その他の気(正気・臓腑の気・経気)
・気の生成

先天の気( 腎 気 ) 精気・原気    元気     元気
                    衛気
後天の気(水穀の気) 営気 営気
      ( 清 気 ) 清気 宗気
2.血

「血は全身を栄養し、精神活動を支える物質である。」
「血の生成は脾、運搬は心、貯蔵は肝が主に行う。」
・広義の血と、狭義の血「血中には、血・津液・精が流れている」
3.津液

「津液は、人体を潤す水液である。」
・津液の代謝は、脾(生成運搬)肺(宣発・粛降・水道通調)で全身に、
 不要となった津液は、腎(排泄)で排泄。
・津=希薄で清なる部分()
 液=粘調で濁なる部分()
4.精と神(全く別のものとして捉える。)
@精の概念及び作用
 ・精は生命活動を支える微粒な根本物質(原子・分子レベルの物質)
 ・先天の精(DNA=生殖発育ホルモン)と後天の精(飲食物)がある。
A精の生成代謝過程
 ・先天の精(腎精)は、脾が生成した後天の精で補充される。
 ・後天の精を生成する脾は、先天の精を有する腎(腎陽)の温く作用によって
  機能が高められる。(陰陽互助)
B神の概念及び作用
 ・広義の神(イキイキしている状態・元気がいい状態)
  (有神・無神=気絶or死亡)
 ・狭義の神(精神思惟活動・脳)
C神の生成代謝過程
 ・誕生と共に形成され、心に蔵されている。
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